基軸通貨 2013 6 16
書名 やっぱりドルは強い
著者 中北 徹 朝日新聞出版(朝日新書)
アメリカ経済が衰退しても、
ドルは、基軸通貨として残るでしょう。
それは、ドルが媒介通貨だからです。
昔は、外国と貿易をするのに、
金(Gold)を使ったかもしれません。
しかし、貿易額が小さいうちは、何とかなるでしょうが、
貿易額が巨額になれば、不可能です。
Goldは、金属の中で、重い金属です。
1オンスの金貨を持ってみれば、わかることですが、
見かけと違って、意外にも重いのです。
そういうわけで、Goldが媒介通貨として機能したのは、
貿易額が小さかった時代の話です。
なぜ、貿易をする時に、媒介通貨が必要か。
たとえば、新興国と貿易をする時に、
日本円と新興国の通貨とは、直接的な交換はありません。
媒介通貨としてドルが間に入るのです。
「日本円→ドル→新興国の通貨、
新興国の通貨→ドル→日本円」となります。
通貨も、交換する時は、
必ず、売り手と買い手の両方が存在する必要があります。
通貨の取引量が小さい時は、必ずしも買い手が見つかるとは限りません。
新興国に何かを売ったら、
代金として、新興国の通貨をもらった。
困りませんか?
「新興国の通貨を持っていても、使いようがない」と思うでしょう。
それだったら、代金として、ドルをもらった方がよいでしょう。
ドルならば、流通量が多いので、いつでも交換できます。
つまり、ドルの買い手は、いつでも見つかるのです。
そういうわけで、アメリカ経済に関係なく、
ドルは、基軸通貨として残っていくでしょう。
昔、こういう謎がありました。
アメリカ経済が好調でも不振でも、
それに関係なく、なぜ米国債は買われるのか。
その理由は、米国債の流動性が高いからです。
投資家としては、「売りたい時に、すぐ売れる。
買いたい時に、すぐ買える」という金融商品がよいと思うからでしょう。